足の皮を剥いてました、とは言えない。

早起きをしたが、まだ動き始めるには早すぎる。

しかし、二度寝をする気にはならない。

スマホとイヤホンを持ってベッドへ。ラジオでも聴こう。

普段は寝床にスマホを持ち込むことはしないのだが、今日は特別だ。

 

画面の激光に耐えながら、音声を再生する。耳にはワイヤレスイヤホン。

薄闇。仰向け。話し声。

なんて快適なんだ。みんな普段からこんなことをしてるのか。

 

しばらく楽しんだ後、体を右に向けた。

その途端、音声が止まった。

このイヤホンは遠隔で再生と停止ができるのだが、どうやら枕に触れて同じことが起こったらしい。

 

仕方がないので体を仰向けにし、再び音声を再生する。

仰向けかうつ伏せでなければならないとは、難儀なことになった。

これはこのイヤホンだけなのか。それとも、ワイヤレスならどれもこうなるのか。

 

どうしたらいい。

ワイヤレスイヤホンで音楽やラジオを聞きながら寝落ちをする連中は、みんな仰向けかうつ伏せなのか。

そんなバカな・・・・・・。

KETSUBINGOの巣

 

二十歳は越えたが酒は飲まない。免許は取ったが車は乗らない。

夏休みだが遊び歩かない。

死ぬことのつぎに怖いのは、定期が切れることだ。

 

脱皮の季節がやってきた。

ワセリンを塗ったので読書は延期。

三駅歩いてブックオフに行ったら足が燃えた。

 

一日に三時間はテレビを観ている。

手すさびに足の皮を剥いたら血が出た。

どうやって皮ができるのかを観察して、日記をつけよう。

 

でっかいヤモリがいた。ちっちゃいヤモリもいた。

 

長州力と恋愛観が同じだった。

 

 

高校の文化祭に行った。

誘ってくれた友人には感謝してもしきれない。

文化祭どうこうではなく会って話せたことが嬉しかった。

楽しみ過ぎて当日までに三回くらい夢に見た。

 

卒業してから時間が経っているので、知っている後輩はひとりもいない。

だけど知っている先生はいた。

 

三年間お世話になった元担任に、たこ焼きをごちそうになった。

私の分だけ先にできあがったので、待ちの時間が発生した。

こういう時どうしたら良いのか。いまだにわからない。

 

部活の顧問だった先生は離任してしまったらしい。

部室に行ったら、私が作った勧誘ビラ入れがまだ残っていた。

日焼けしてほこりっぽくなっていたが、それでもまだ残っていた。

中には今年の部員が作ったビラが入っていた。

なんか、ジーンときた。

このまま、いつから貼ってあるかわからなくなるまで、紙が朽ちるまで、私が死ぬまで残っていてほしいと思った。

 

最後にチア部の発表を見て帰った。

元気が出た。

チア部だけじゃなく、みんな若さに溢れていた。

形容しがたい雰囲気。活発、自信、気だるさ、湿度。

ちょっとだけ苦しくなった。自分のほこりっぽさを認識した。

未来に来たのだ、私は。

 

その後、カラオケに行った。

初めて採点モードに挑戦した。

音が外れる部分が、一番と二番で同じだった。

不確かさ、耳か、声か。面白かった。

 

いろんな話をした。

見栄も張った。

 

心地よい疲労と孤独、思い出が残った。

 

 

<了>