ナメてんじゃねえぞコラ2013

『相棒』関連雑誌、今回は2013年に公開されたスピンオフ映画『相棒シリーズ X DAY』にまつわるもの。

 

『日本映画navi vol.38』(2013年、産経新聞出版)-PLATINADATA

ブックオフオンライン。220円。

★特写&インタビュー 川原和久 P42~45

・「車の上を走るのも、『アクションシーンは頑張ってもらいます』と、監督から初めて聞かされた時は冗談だと思ったんですよ。台本ではそこまで派手なシーンじゃなかったから。でも、画コンテができてきて」116ページの「映画紹介」によれば、アクション用の画コンテ作られるのは『相棒』では珍しいことらしい。

・「捜査一課や組対五課の日常を出せたのはよかったんじゃないかな。いつもは右京が全部解決しちゃいますけど、じゃあ右京が事件に関われなかったらどうなるんだろうってことです」

 

『X DAY』と同じく橋本一監督がメガホンを取った『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』の製作現場密着リポートも載っていた。『相棒』の主要スタッフが参加している作品である。

 

今回購入したものではないが、<『相棒』捜査一課 伊丹憲一>という最高のムック本も存在するので念のためお知らせする。

(2013年、ぴあ)

模試の帰りに寄り道してこの本を買った、中三の冬の日のことは一生忘れないだろう。

 

月刊『シナリオ 2013年4月号』-アマゾンで購入。

(2013年、シナリオ作家協会)

劇場版にあたって 櫻井武晴 P78・79

・「事件物を書く時には、『架空の憂鬱』を作るよりも、『憂鬱な日常』を丁寧に扱うべきだと考えている。その上で『架空』にできるのが事件物のフィクション作家だ」

・「今回の劇場版にあたっては『スケール感』が欲しいと言われた。でもお金はそんなにかけられないとも言われた。両立する手としては『憂鬱な日常』にスケール感のあるものを選ぶしかない。そこでこの題材を選んだ」

・「見栄を張らずに「難しいことは分からない」と言える伊丹のような人物が、この題材の主人公に向いていると思った。その対極にある主人公として岩月を作り、題材の支援役として右京、神戸、雛子たちクレバーな人々に頑張っていただいた」

・「テレビドラマ『相棒』を見てくれている人のために、ドラマでは見せなかったレギュラー陣の組合せや動きも投入してみた」

 

『相棒シリーズ X DAY』 脚本:櫻井武晴 P80~114

東京明和銀行のシステム部社員・中山雄吾の転落死体が発見された。遺体の傍らには100万円の束が燃やされた痕跡が、ビルの屋上には争ったような足跡があったことから捜査一課は殺人と断定。被害者宅での鑑識・押収作業に向かおうとした矢先、現場にサイバー犯罪対策課の捜査官・岩月彬が現れる。死亡した中山は複数の端末を経由してネット上に謎の「半角英数データ」をアップしており、不正アクセス容疑でマークされていたのだ。伊丹は岩月を中山宅の捜索に誘うが、岩月は管轄外の事件には興味がないらしく……。反目するふたりを待ち受ける真実とは。

・川原さんがおっしゃっていた通り、脚本には「車の上を走る」といったアクションの指定はなかったが、冒頭の「ーー岩月彬。その顔に変化する様々な半角英数が飛び込みーー」や、ラストの「と、カードを入れる穴からATMを覗いた。ATMの中ーー薄暗い中に唸るような札束があり、ブラックアウトーーエンドロール、せり上がる」など、私が勝手に橋本監督の演出によるものだと考えていた箇所が、脚本に存在することが判明した。

・金融封鎖に関するト書きが詳細。

・伊丹と岩月の小競り合いの部分はアドリブが多い。例えば、脚本の

岩月「聞きわけ良くなりましたね(行く)」

「この野郎」「褒めたんです」と言いつつ去る二人。

という部分は、

岩月「聞きわけ良くなりましたね(行く)」

伊丹「犬かよ俺は。ナメてんじゃねえぞコラ(追う)」

になっている。このような差異を探すのが醍醐味である。

 

購入した月刊『ドラマ』や『シナリオ』を読んできたが、その中には片山雛子衆議院議員が登場する話が含まれていた。『X DAY』で駆け引きの材料となる「改正通信傍受法案」は『相棒 -劇場版-』の冒頭でも言及されたものだ。ほかの脚本家が作った設定を引き継ぎ昇華するのは『相棒』お家芸のひとつだが、櫻井武晴は特に長けていたことを改めて実感した。

 

 

気づいたら『相棒』の脚本が載っている雑誌がほとんど揃っていた。嬉しい。

残すは「潜入捜査」(シーズン3 脚本:輿水泰弘)が掲載されている月刊『ドラマ 2005年2月号』のみ。

行くか、神保町。

 

 

<了>

月刊ドラマを、読む。4

メルカリで買った神戸期の月刊『ドラマ』を読む。

値段はだいたい定価くらい。ブックオフオンラインでの取り扱いは終了している品々。

 

『ドラマ 2011年2月号』-『相棒 season9』シナリオ特集。

(2011年、映人社)

「最後のアトリエ」 脚本:太田愛(「作者ノート」あり) P68~84

※若干の修正が見られるものの『相棒 シナリオ傑作選2』(2011年、竹書房)にも収録(「作者ノート」は除く)。

夭折の天才画家・有吉比登治の回顧展を前に、主催するイベント会社の社長が撲殺された。捜査一課が業務上のトラブルの線を追う一方で、右京は現場に落ちていた新刊案内のチラシに着目。尊との聞き込みの際に出会った老画家・榊隆平が事件に関与していることを直感する。有吉の在りし日の友人だという榊は、自身を画家とは認めないほどの偏屈な人物で……。

放送内容との目立った差異はなかった。倒叙ミステリに近い作品だと認識していたが、「作者ノート」の「そこにありながら一度も見られることのない榊の絵は、近藤監督の心憎い演出によって、贋作疑惑をより強く匂わせるものになっていました」という記述によって、「そういう意図があったのか」と今更気づいた。何度も観てきたはずなのに。

 

「暴発」 脚本:櫻井武晴(「作者ノート」あり) P85~102

関東貴船組系二見会の一斉摘発の最中、構成員一名の銃殺体が発見された。死亡から時間が経っていたため逮捕された構成員の誰が撃ったかはわからず、それどころか誰も死亡した男の名前すら明かそうとしなかった。そんな中、厚生労働省麻薬取締部の五月女という男が警視庁を訪れ、内偵情報や資料を提供する代わりに二見会の薬物容疑の送検をさせてほしいと“相談”を持ちかけてきて……。

・「作者ノート」によれば「右京と尊の考えの差が見える話というリクエスト」があった。「右京は楽な方へ流れない。己の正義を貫くために法の不備を使うが、不備な法だから守らなくていいとは思わない。信念の先に残酷な結果があるなら、それを受け止める覚悟を持つ。(中略)だからこそ、右京の『強さ』は『異常』に映る。その『異常さ』を、尊を鏡にして描けたらーーそう思って、この物語を書いた」尊が節目のシーズン10で卒業することはかなり早い段階で決まっていたと、卒業発表記者会見で松本プロデューサーは明かしたが、卒業回「罪と罰」での右京と尊の対立がどことなく「暴発」を想起させるものだったことも無関係とは思えない。

・放送ではカットされているが、「誰が撃ったか分からない」という点で尊と米沢が『相棒 -劇場版Ⅱ-』(時系列ではシーズン9の開始前に位置するが、「暴発」放送時は公開前)で発生した事件に言及するシーンがある。

 

「聖戦」 脚本:古沢良太 P103~133

閑静な住宅街で一軒家が爆破され、会社員・折原忠志が死亡した。折原には錯乱状態でバイクを運転して事故を起こし、相手を死なせた過去があった。事故被害者の母親・富田寿子が一度は捜査線上に浮上するが、一課は犯行時に不在だった折原の妻・夏実の線に切り替える。一方、特命係は現場のカーテンレールに施された細工、犯人が滞在していたと思われる地点に落ちていたビスケットの破片から、寿子が犯人だと確信する……。

富田寿子が折原を爆殺する衝撃的なシーンから始まる元日スペシャル。倒叙ミステリであることには違いないが、本作の脚本を手掛けた古沢良太の『相棒』デビュー作である「殺人講義」のように純粋にコロンボ的な謎解きが楽しめる倒叙ではない。

寿子の犯行動機を示す回想シーンが集中的に挿入される前半は復讐劇、それによって寿子の“狂気”が際立つ後半はサスペンスの要素を強く感じさせる。何より、“当事者同士による決着”にも見えてしまうラストは、“特命係の希薄さ”という点で類を見ないものに思える。

シーンの順序などに若干の差異があったが、内容はおおむね放送の通りだった。「作者ノート」が掲載されていないため、上記の、私が捉えた漠然とした特徴への答え(解釈)としては「僕らは結局、傍観者でしかありませんからね」という尊のセリフに尽きるのかもしれない。

だが、『相棒 シナリオ傑作選 pre season-season7』(2011年、竹書房)を読み返したところ「INTERVIEW■古沢良太」にその答えがあった。

「聖戦」(#910)なんかは、もともと全編ゲストたちの話ばかりで捜査を追わない話だったんですが、さすがに「特命係をもう少し活躍させましょう」と言われました(笑)。

-393頁より引用。

殺す者、殺される者、その遺族、濡れ衣を着せられる者、その家族、脅す者、脅される者、止める者、今は亡き者……。事件関係者の描写が多く、特命係が物語の軸ではないことが、私が感じた“希薄さ”への答えであり、この話の最大の特徴であるようだ。

 

この号から年一回の『相棒』特集がほぼ恒例となる。

 

 

『ドラマ 2011年5月号』-『相棒 season9』最終回スペシャル。

(2011年、映人社)

『相棒』を書くということ 戸田山雅司 P108・109

・「最終話に関して言えば、劇場版Ⅱと同様に、まず輿水泰弘さんが死刑囚・本多篤人の極秘裏の釈放に端を発した事件から、小野田公顕が生前に何を残そうとしたのかという結末までの大きな枠組を作られて、僕はその流れの中で事件の細かな展開や人物の動き、特に本多父娘に関してを膨らませていくという作業でした。(中略)ラスト近くで瀬戸内と話す小野田のセリフは相当苦心しました」『相棒』では珍しい共作作品がどのようにできたのか。わずかにだが知ることができた。

 

「亡霊」 脚本:戸田山雅司輿水泰弘 P110~143

極左テロ集団「赤いカナリア」の元幹部・本多篤人の死刑が執行された。新聞報道でその“事実”を知った特命係だったが、東京拘置所に収容されている元法務大臣・瀬戸内米蔵との面会で本多が「生きて釈放された」ことを告げられる。瀬戸内とも本多とも浅からぬ縁がある右京は、尊とともに半信半疑のまま調査を開始。本多の娘・茉莉の自宅を訪ねると、そこには争った形跡と謎の男の遺体があるばかりで……。

・本多の逃走方法がバイクではなく徒歩。スタンガン男の足を包丁で刺す。

・序盤の面会シーンが放送よりも長い。「屁理屈も理屈の親戚だよ。(右京に)なぁ?」という瀬戸内のセリフがある。

・「赤いカナリア」幹部の遺体が発見されるのが「樹海かどこか」になっている。

 

 

『ドラマ 2012年2月号』-『相棒 season10』シナリオ特集。

(2012年、映人社)

「贖罪」 脚本:輿水泰弘(「作者ノート」あり) P5~40

仮釈放された“殺人犯”・城戸充がその足で投身自殺、発見された遺書には神戸尊への恨み言が書かれていた。右京とともに15年前の事件を検証することにした尊。当時の関係者を訪ねまわるうちに、城戸事件に関わった刑事・検事・判事の計4名が事件の翌年に退職していたことが判明して……。

・城戸が筆記用具を買うシーンがある。

・右京が「花の里」閉店のための掃除を手伝うシーン、尊が右京の口から閉店を知らされるシーンがある。

 

「晩夏」 脚本:太田愛(「作者ノート」あり) P41~57

特命係は、右京がひょんなことから知り合った歌人・高塔織絵の依頼で42年前に亡くなった織絵の恋人・桐野孝雄の服毒自殺を調べることに。手がかりがほとんどない中、ふたりは桐野の関係者や当時の担当刑事の証言、遺された短歌ノートをもとに推理を組み立てていくが……。

・「杉下さん、『安請け合い』って言葉知ってます?」という尊のセリフがある。

・短歌会『器の会』の同人の証言が放送よりやや詳細。歌会のテーマ『背』についての解説もなされている。

・尊のお土産が「枝豆」ではなく「山菜」

 

「ラスト・ソング」 脚本:戸田山雅司(「作者ノート」あり) P58~75

伝説のジャズシンガー・安城瑠里子のライブ後、プロモーター・鎌谷充子の遺体が発見された。鎌谷がヘビースモーカーだったことから、非常階段の踊り場で喫煙しようとして転落した可能性が濃厚になるが、期せずして遺体の第一発見者となってしまった尊は、現場の状況に違和感を覚えていて……。

・特命係が所轄の刑事・山口に邪険に扱われるシーンがある。

・事件の可能性が高くなったのちに米沢らが現場の再検証を試みるシーンがある。

・犯人が警察へのリークによって、他人に罪を着せようとする。

ノベライズ作品『相棒 season9 下』の解説は安城瑠里子を演じた研ナオコさんが務めており、『相棒』出演の経緯についても書かれている。

 

 

『相棒』、まったくもって飽きが来ない。

 

 

<了>

いろいろマガジン

まだまだ読みます、『相棒』関連雑誌。

時は流れ、右京の相棒は亀山薫から神戸尊に。

 

まずはこちら、『刑事マガジン vol.8』(2009年、辰巳出版)-事実上の最終号。

ブックオフオンラインで購入。605円。

松本基弘 プロデューサー P28~30

放送中の『相棒 season8』についてのインタビュー。

・<新相棒>神戸尊について。「及川さんには、以前、ゲストとして『相棒』に出ていただきたくて、お話ししたことがあった」

・初登場がシーズン7の最終回スペシャルだったことについて。「そもそも及川さんはコンサートをやっている最中で、スケジュールの問題もあったんですが、そういう悪条件を逆手にとるのは得意な『相棒』チームですから(笑)、だったら最終回にしてやれと、思いつきました」

・シーズン8初回スペシャルは「内山理名ありきで作った話」

 

30頁より引用。

杉下右京のフィギュアとKUBRICKの宣伝コーナーもあった。この時期だったんだ。

六角精児 P31・32

米沢守役の六角さんへのインタビュー。スピンオフ映画『鑑識・米沢守の事件簿』と新相棒、シーズン8について。

・「捜一の人達とは、あまり飲まないことにしているんです。長いことやってますしね……。そんなに一緒にいなくてもね……(笑)。大谷(亮介)さんとは、行ってる飲み屋が同じなので否が応でも会うんですけど(笑)」『刑事マガジン プラスワン』の「トリオ・ザ・捜一インタビュー」を読んだばかりなので味わい深い。

 

season7 全話紹介 P33~37

全19話のストーリー紹介。初回放送日、脚本・監督の名前も載っている。

『~プラスワン』の「『SEASON Ⅳ』全話ガイド」にはあらすじが載っていたが、本号では解説文も。読み応えあり。

 

 

お次はこちら、『Quick Japan Vol.92』(2010年、太田出版)-SUBCULTURE

ブックオフオンライン。110円。

特集 『相棒』が相棒を変えた理由

シーズン9放送開始と劇場版Ⅱの公開決定を記念した『相棒』特集。

 

『相棒』の世界観と凄みが生まれる場所で P130~133

シーズン9の撮影現場リポート。文字数と熱量がすごい。『相棒』の特異性が東映東京撮影所、すなわち「往年の日本映画界の撮影所システムとの「近さ」」に由来しているという指摘は初めて目にしたが、かなり鋭く、説得力を感じた。水谷さんと及川さんの“セッション”の様子も臨場感を持ってリポートされている。

 

中年としてカッコ良く生きるための大きな賭け 及川光博 P134~139

ロングインタビュー。「及川光博が相棒に選ばれた意味」「『相棒』という作品の中でどう機能するか」「セルフプロデュースの場がある幸せ」「賛否両論に対する心構え」「歳を重ねて失うもの 手に入れるもの」

・「賛否両論には慣れているんです(笑)。とはいえね、やはりそれで数字がついてこなかったら、どうしても自分を責めてしまう。だから、初回の結果にはホッとしたし、あとは何と言っても、最終回が二〇%を超えたっていうニュースを聞いた時。ほんとに、涙が出るくらい嬉しかった」初めての相棒交代。新相棒のプレッシャーは想像を絶するものだったのだと、今更ながらしみじみ。

 

「前へ進むためにはある種の勇気が必要なんです」 水谷豊×和泉聖治(監督)×松本基弘(テレビ朝日プロデューサー) P140~143

座談会。「「あえて」壊す決意」「チームの合意で動いていく」「『相棒』でしかできない感情の繋がり」「世界観を色濃く詰め込んだ劇場版」

・シーズン9は「これまでと全然違うテイスト」

・「やっぱりひらめきが出ないと心配なんですよ。及川君はあまりにも意外な名前だったので。でもふっとね、「あっ、いけるな。豊さんと合うな」とひらめいた」

・和泉監督「「でも、これいいのかな?警視庁から目を付けられないかな」とかは考えますけど(笑)」

最後に冗談半分でシーズン20への言及がなされている。実現していることの驚異たるや。

 

捜査一課の面々が『相棒』を斬る! 川原和久×大谷亮介×山中崇史 P144・145

座談会。「捜査一課との関係にも変化の兆しが」「演劇系が脇を固める力」「三人三様の色を出していきたい」

・「コメディ的な台詞があった時でも、これはちょっとやり過ぎだろうみたいなところで、現場で止めたりすることもありますからね。昔、僕らが悪乗りして暴走した時に、監督から「もうちょっとシリアスにしてほしい」って言われて反省したこともありますし。だから、そこもバランスなんですよね」

・川原さん「自分が正直に思うのは、スピンオフに関しては米沢守で使い切ったかなって思いますね。本編の話も劇場版Ⅱ、「Season9」と大変なことになってるし、もうスピンオフはやらないほうが潔いと思います。もし振られたら……それはやりますけど(笑)」3年後には『X DAY』が公開していると思うと感慨深い。

 

 

最後はこちら、『ハヤカワ ミステリマガジン No.659』(2011年、早川書房)-MYSTERY

メルカリで購入。

特集 相棒 特命係へようこそ

「編集後記」で触れられているが、同時期に発売されたノベライズ作品『相棒 season7 中』の解説はこの雑誌の当時の編集長である小塚麻衣子さんによるものだ。その解説によれば『ハヤカワ ミステリマガジン』で「日本の、しかもドラマの特集を組むというのは五十五年の歴史で初めて」とのこと。

関係ないけど、小塚さんのデスクがすごい。

www.e-aidem.com

 

『相棒 -劇場版Ⅱ-』を語る 水谷豊・及川光博 P12~16

巻頭カラーインタヴュー。

・及川さん「尊は、発想としては子どもっぽい人間だと思うんですよ。右京に対しては自分よりも優秀な頭脳の持ち主への憧れと、それを追い越してみたいという嫉妬の感情があると思うんですよね。(中略)たぶん今までは、ただ出世して官僚になることを考えていたと思います。その彼が変わっていったきっかけは、杉下右京に他ならないでしょうね」

・水谷さんが好きな映画は『デストラップ 死の罠』。是非、観なければ。

 

ミステリファンにとっての龍宮城 千街晶之 P17~20

ミステリ評論家の千街さんによるエッセイ。というより、もはや分析批評。キャラクター、トリック、モチーフ、オチ、キャスティング、倒叙バカミススペシャル版、サブタイトル、小説版。わずか4ページであらゆる要素への言及がなされている。

新発見あり、読み応え抜群。ただ褒めているだけではないのだが、確かな分析のあとなので、読んでいて「なるほどな」となる。こういう文章が書けるようになりたい。

・「『相棒』は基本的に、さまざまなミステリの先例に敬意を表しつつ、それを見違えるような新しい姿に再構築するのが得意なドラマと言えるだろう」千街さんによる『相棒 season4 下』の解説「『相棒』のフォーマットに限界はあるか」でも同様のことが述べられている。私はフックやトリック、トラップ(言ってしまえば「刑事ドラマあるある」)の組み合わせに面白味を感じる質なので、「再構築」という言葉に得心が行った。

 

杉下右京四つの謎 司城志朗 P22・23

『相棒 -劇場版-』のノベライズを手掛けた小説家の司城さんによるエッセイ。「“花の里”は、なぜつぶれないのか」「宮部たまきは、本当に右京の別れた妻か」「右京はどこで捜査方法を学んだか」「右京の出自はどこにあるのか」という四つの謎の解明を通して右京の正体に迫る。

かなりのトンデモ説だが、司城さん自身がそれを承知で淡々とぶっ飛んだ推理を展開しているので(本気だったらごめんなさい)、気づいたら惹きつけられていた。

大学一年の時、探偵脳が過ぎていた私は、映画版『マイ・フェア・レディ』を分析・発表する課題で「ヒギンズ教授はもともとイライザに目をつけていた」という説を披露して教室中の顰蹙を買ったことがあるのだが、もっと真面目顔で、堂々と開陳していればトンデモ説でも押し通せたのだろうかと、今更ながら考える。

 

ノベライズ作家から見た『相棒』 碇卯人 P24・25

朝日文庫の『相棒』ノベライズシリーズおよび杉下右京が主人公のオリジナル小説シリーズの著者としておなじみの碇さんによるエッセイ。『相棒』が競作?形式であること、その理由・特色の説明から、どのようにノベライズがなされるか、お気に入り三作品の発表まで。

ですます調だからか、司城さんのを読んだあとだからか、とても折り目正しい文章に思える。説明が丁寧でとにかくわかりやすく、この人があのぶっ飛んだ『隠蔽人類』の著者だとは到底信じられない。

・「映像と脚本が食い違っているとき、基本的には最終成果物である映像のほうに準拠して小説化するように心がけています。しかし、脚本家の中には決定稿にこだわる方もいて、申し入れがあれば映像ではなく脚本のほうを優先する場合もあります」こうしてファンの楽しみがひとつ増える。久々にノベライズを読み返したくなってきた。

 

全シーズン紹介 P26~35

プレシーズンからシーズン9まで、各シーズンの紹介が1ページずつ。筆者は書評家の三橋曉さん(PS・S1)、翻訳家の白須清美さん(S2)、文芸評論家の末國善己さん(S3・5~8)、コラムニストの香山二三郎さん(S4)。

シーズン9の紹介は編集部によるもの。元日スペシャルの放送前ということ、おそらく執筆時期の関係で言及は第1~4話にとどまっているが最後には「神戸の立ち位置の変化にも注目したい。今までも大胆な展開で視聴者を驚かせてきた『相棒』である。このままおとなしく杉下の相棒におさまるとは考えにくい」という鋭い指摘がなされている。

どの紹介文も、読み応え抜群。ミステリマニアに『相棒』への門戸を開くためか、同系統のミステリ小説や作家を例に出してストーリーが紹介されているのが『ミステリマガジン』ならではか。未読の書ばかりなので、そのうち手を伸ばしたい。

 

奇妙な手紙の事件 コリン・デクスター 鈴木恵/訳 P36~44

今は亡きモース主任警部の元相棒であるルイス警部のもとに「イギリス探偵作家クラブ」の元会長キーティングから手紙が届いた。キーティングはモース警部を通じてルイスを知ったらしく、手紙は、クラブ会員の中にいる小切手帳泥棒を突き止めて欲しいという内容だった。ルイス警部と部長刑事のハサウェイは手紙の“解読”を始めるが……。

杉下右京は一切登場しないが「海外で活躍する“相棒”たちの短篇」として特集に組み込まれている。アルファベットが鍵となる暗号モノであり、どんでん返しもあるのだが、オチがよくわからなかった。……ray?……fray?……すり減らす?

AXNミステリーで『ルイス警部』というドラマを観たことがあるのだが、どうやら『主任警部モース』のスピンオフ作品だったようだ。原作があったとは。

www.mystery.co.jp

 

相棒とわたし 腹肉ツヤ子 P46~51

※目次では「私と相棒」

のちに『相棒 season8 上』の巻末漫画を手掛けることになる腹肉さんによるエッセイ?漫画。「右京さんとの結婚生活」を妄想、キッチンでの小事件を描く。シチュエーションはノベライズ巻末のと同じだが、内容は異なる。自宅の設定なのに神戸君や米沢さんが当たり前のように登場するのが面白い。

 

剃刀ビル ピーター・ラヴゼイ 山本やよい/訳 P52~65

すでに四人の娼婦を殺害している切り裂き魔「剃刀ビル」をおびき出すため、サッカレイ巡査はクリッブ部長刑事の命令で女装、おとり捜査をすることに。その甲斐あって「ビル」は逮捕されるが、言葉が通じないのか完全黙秘。通訳の到着を待つことになる。そんな中、牧師のマウントジョイがサッカレイを来訪、四番目の殺人が別人の犯行である可能性を示唆する。牧師の奇妙な意見に興味を示したクリッブは、早速その夜、サッカレイとともに牧師夫妻を訪問するが……。

『相棒』特集のもうひとつの短篇。こちらのほうが『相棒』っぽかった。強いて言えば、シーズン3の「大統領の陰謀」だろうか。言葉遣いから真の動機を穿つラストがオシャレ。シリーズものらしいので、ほかの作品も読んでみたい。

 

「特命係」は英語で「Special Task Force」

中・高・大と、英語のプレゼンの授業でたびたび『相棒』を取り上げてきたが、いつも「トクメイガカリ」で通していた。もっと早く知りたかった。

 

 

また書きすぎた。

ま、いっか。

 

 

<了>

月刊ドラマを、読む。プラスワン

アマゾンで買った中古の月刊『ドラマ』、月刊『シナリオ』を読む。

いずれも定価以上だったが、今回購入した号はブックオフオンラインでは取り扱われていないため、入手できただけでもラッキーだ。

 

まずは月刊『ドラマ 2008年2月号』-(テレビ)ドラマの脚本専門誌。

(2008年、映人社)

『相棒』特集として、4作品(5本)の脚本、輿水泰弘さん・松本基弘プロデューサーへのインタビュー、櫻井武晴さん・古沢良太さん・戸田山雅司さんの「作者ノート」(自作解説)、シナリオ作家の桂千穂さんによる評論が掲載されている。

以下、掲載順に感想など。

『相棒』へのファンレター 桂千穂 P6・7

※目次では「ファンレター」ではなく「ラブレター」となっている。

碩学」が「本稿を書くべきだ」という前置きがなされているが、イギリスミステリーやアメリカのハードボイルドの流れを踏まえたうえでの『相棒』論は、『相棒』以外をほとんど知らない私にとって勉強になるものだった。

杉下右京=ブラウン神父」説が唱えられている点も興味深い。

『相棒』生みの親のひとりである輿水さんによれば「杉下右京=ポワロ+コロンボ」だが、輿水作品の中にはシーズン2「神隠し」やシーズン21「13」のように劇中に「ブラウン神父」が登場するものもあるため、『相棒』が「ブラウン神父」の影響を少なからず受けているのは間違いないだろう。チェスタトンも読まなきゃ。

 

脚本家人生の半分は『相棒』を書いていた 輿水泰弘 P8~13

※『ドラマ 2014年2月号』に再録(略歴の文章は異なる)。

亀山薫の役回りは「僕らと同じ目線の凡人」、ゆえに右京よりもキャラクター作りが難しかった。寺脇康文さんの演技を「ホンに反映させていった」

・「これだけは断言します、右京とたまきは縒りを戻したりしません」

・笑いの要素を入れること、一話完結の枠を壊すこと、ゲストを再登場させることはアメリカのテレビドラマの影響。

 

松本基弘プロデューサーに聞く『相棒』の誕生 P14~16

『相棒』誕生秘話についてはオフィシャルガイドなどでも語られており、以下の記事とも内容が重なる部分がある。

www.tv-asahi.co.jp

 

「ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠」「特命係復活」(シーズン2 脚本:輿水泰弘) P17~70

※当初のタイトルは「帰還」「復活」(輿水泰弘インタビューより)。

初回2時間スペシャル+1時間の計3時間(実際は2時間20分くらい)におよぶ壮大な倒叙ミステリ。解散したはずの特命係が、父親と同年代の男たちを毒殺するファザコンの連続殺人鬼・小暮ひとみと対峙する。

・ロンドンのフラットで右京に文句を言いにくる老婆のセリフに「※決して字幕など出さぬこと」という注釈がついている。

・「今日からあたしがママの代わりをしてあげる! ね、いいでしょ?」というセリフがあるなど、ひとみのファザコンの描写が放送されたものよりも強烈。

・最初の殺人について。放送では明確な動機は明かされなかったが、脚本では「恋人を作ったから」という動機が用意されていた。

 

「ありふれた殺人」(シーズン3 脚本:櫻井武晴) P71~88

※『相棒 シナリオ傑作選 pre season-season7』(2011年、竹書房)にも収録(「作者ノート」は除く)。

時効が成立した殺人事件の犯人・小見山が自首してきたが「誰かに狙われている」と主張するばかりで反省の色は見られない。特命係は、「犯人の名前を教えてください」と懇願する被害者遺族の応対をすることになる。毅然とする右京と、葛藤する薫。そんな中、小見山が自宅で殺害されてしまう……。

・「作者ノート」によれば「結末に関しては打ち合わせで最も闘った作品」であり、「希望が見えるエンディングにしてはいけないという想いが強かった作品の一つだ」とのこと。映像と比較しながら脚本を読んだが、カットされたシーンが多少あるものの、結末を含めて放送内容との大きな差異はなかった。

 

「ついてない女」(シーズン4 脚本:古沢良太) P90~106

※『相棒 シナリオ傑作選2』(2011年、竹書房)にも収録(「作者ノート」は除く)。

夫を死に追いやったヤクザを銃撃し、国外逃亡を図る“ついてない女”月本幸子。ひょんなことから彼女と知り合い不審を抱いた右京は、薫に犯行現場と被害者の特定を命じ、幸子の乗る成田行きのリムジンバスに乗り込む。タイムリミットが迫る中、特命係はわずかな手がかりから高飛びを阻止できるのか……。

・右京が幸子を嵌める場面が放送よりも多い。

・薫が幸子のパート先に聞き込むシーンがある。

・名簿を照らし合わせて被害者を特定する場面に捜一トリオもいる。

 

「せんみつ」(シーズン5 脚本:戸田山雅司) P107~125

※『相棒 シナリオ傑作選 pre season-season7』(2011年、竹書房)にも収録(「作者ノート」は除く)。

「本当のことは千のうち、3つもない」ほどの大噓つきで空き巣の常習犯・槇原が奥多摩の別荘に侵入し逮捕されたが、今回ばかりは素直に自供していた。彼と付き合いが長い捜査一課の三浦は不審に思い、内々で特命係に調査を依頼する。実際に槇原と対峙した右京は、別荘に侵入したこと以外はすべて作り話だと気づいて……。

・放送では槇原が別荘に侵入するまでの行動が一部省略されており、警察が駆けつけるまでの時間も57分→15分に変更されている。

・伊丹と芹沢が槇原を取り調べるシーンがある。

・特命係が槇原の持ち物について丁寧に言及している。

・「作者ノート」によれば「特命係に誰かが依頼に来る話」「取調室の安楽椅子探偵モノ」「芝居のような会話劇」というオーダーで作られた。

 

 

お次は月刊『シナリオ 2008年6月号』-映画の脚本専門誌。

(2008年、シナリオ作家協会)

『相棒 -劇場版-』の脚本と、戸田山さんへのインタビューが掲載されている。

 

戸田山雅司~キャッチフレーズは“あげまん”脚本家!?~ P18~27

脚本家・加藤正人さんの連載インタビュー企画の第13回。

『相棒』についてはもちろん、大学時代の話からテレビデビュー・映画進出の話まで。

・スケジュールの関係で『相棒 -劇場版-』を書くことになった。

・「マラソンとチェスが繋がったとき」手ごたえを感じた。

・「全部撮ったら二時間半を超えちゃうぐらいの」情報量。

・「言葉の量が多いの」が『相棒』の特徴。書きすぎてしまうこともある。

 

『相棒 -劇場版-』 脚本:戸田山雅司 P28~73

片山雛子衆議院議員の事務所に爆発物が届き秘書一名が負傷した。警察上層部は左翼過激派「赤いカナリア」の犯行と断定し、特命係には“警護任務”という名のおとり役が与えられる。海外公務のために空港へ向かう道中、一同は姿なき犯人による襲撃を受けるが右京の注意力と薫の腕力により被害は最小限にとどめられた。およそ過激派らしくない襲撃方法に違和感を抱いた右京は、現場に「d4」という記号が残されていたことから、数日前に発生したニュースキャスター殺人事件と同一犯による犯行だと推理する。

・「二時間半を超えちゃうぐらい」の言葉に違わず、カットや変更されたシーンがかなりある。犯行や捜査のプロセスがより丁寧に描かれているほか、内村刑事部長に叱責されたり、芹沢刑事に煙たがられたりと、特命係の立場を示すようなシーンも多い。「守村やよい」が「木佐原康江」に戻る決意を固くしていたのが特に印象的だった。

 

 

最後に月刊『ドラマ 2009年2月号』-輿水泰弘シナリオ集。

(2009年、映人社)

輿水さんの3作品(5本)の脚本とインタビュー、シナリオ講師の柏田道夫さんによる作品分析が掲載されている。

 

長く続いたからこそ出来ることがある 輿水泰弘 P4~8

内容は「掲載作を選んだ理由」「シーズン7の1、2話について」「新人に言っておきたいこと」

以下、輿水さんの発言はすべてこのインタビューによる。

 

『相棒』のおもしろさの秘密 柏田道夫 P10~15

亀山薫卒業から間もなくに書かれた文章とのことで、静かな興奮が伝わってくる。桂さんの評論は海外ミステリを踏まえたものだったが、こちらでは国内の刑事ドラマの変遷から『相棒』の構造が分析されている。ただ、どちらの『相棒』論でも「特命係」というセクションの妙、あらゆる事件への介入を可能にした設定の妙が論じられており興味深かった。

 

「十五年目の真実」「閣下」(シーズン1 脚本:輿水泰弘) P17~68

※放送タイトルは「右京撃たれる~特命係15年目の真実」「午後9時30分の復讐~特命係、最後の事件」

特命係誕生の秘密が明かされる、1時間+最終回2時間スペシャ。再び動き出した15年前の事件に、右京と薫、小野田の特別チームが挑む。

警察庁勤務になりスーツを着るかどうか迷う薫が描かれている(美和子は「いつものスタイルで通したらいいじゃないの」と言っている)。

・「どうしようもなく気が……十五年前の事件を検証するのはやはり……もう降りてしまいたいぐらいです」など、いつになく弱気な右京が描かれている(シーズン16「検察捜査」の脚本でも弱気な右京が描かれていた)。

・右京の名言「もしも限界があるとするならば、それはあきらめた瞬間でしょう」が「違いますねえ。諦めた瞬間が限界になるンですよ」になっている。その後のシーンも少し異なる。

 

「新・Wの悲喜劇」(シーズン6 脚本:輿水泰弘) P69~84

薫と美和子が住むマンションで事件が起きる「Wの悲喜劇」(シーズン5)の続編?エピソード。禁じ手とされる手法が用いられているが、亀山家を訪れた角田課長と上の階の住人・白鳥寿々美がベランダ越しに邂逅を果たすシーンなどは二重の意味でフォローとして気が利いている。

・角田が「呪われてるぞ、このマンション」と言い、薫に引っ越しを勧めるシーンがある。

・輿水さん曰く「通常の刑事ドラマでは有り得ない、奇を衒った作品ですけど、長年『相棒』を書いてきたご褒美として書かせてもらったと思ってます」

・ほかに意識的にタッチを変えた作品としては「シーズン4の最終回『桜田門内の変』。これは警視庁の中で連続殺人事件が起きる。わざとコメディタッチでやったのがあります」

 

「レベル4」前篇・後篇(シーズン7 脚本:輿水泰弘) P85~120

亀山薫の卒業エピソード。国立微生物研究所で殺人事件が発生。自作した殺人ウイルスを持ち去って逃走中の犯人・小菅と特命係が決死の戦いを繰り広げる。

・小菅が殺人ウイルスの元になったマールブルグ出血熱のウイルス株を国内に持ち込んだ方法や、小菅の同僚の長峰研究員が単独で検査をすることになった経緯が描かれている。

・薫が美和子を説得する場面や、薫が警視庁の面々に別れの挨拶をするシーンも若干異なる。最後は特命係の小部屋「再び一人きりになった右京でーー」となっている。

 

・卒業エピソードをシーズン7の最終回にしなかったのは、輿水さん曰く「それでは当たり前だから」「本当は記者発表せずにやりたかった。でも、いつ卒業するか分からないようにしておいた」

・薫の去り方については「その人をことさらヒロイックに退場させるみたいなのは、やめようと話していた。さりげなく去って行く。そういうふうにしよう、というのがあった」「それも途中で、薫の逡巡みたいなことを丹念に描いて行くというようなことは、やれば出来るのかもしれないけど、やらない。だから、冒頭できっかけだけ振っておいて、今度の回(9話)で卒業させるというのだけは決めていた」

 

・シーズン7開始前『相棒 -劇場版-』公開に合わせて放送された特別編(プレシーズン1の再放送に新撮映像を加えたもの)の新撮部分には、小菅や彼のアジトが登場するなど「レベル4」とクロスオーバーする部分があるのだが、ロケ場所やセリフ、逃げた小菅を追跡する右京と薫が上階と地下のどちらに行くかなど、実際の映像には差異が生まれている。しかし今回「レベル4」の脚本では当該のシーンが特別編の新撮映像と完全に符合していることがわかった。

・「犯人が登場して、それを捕まえるまでの、短い新撮の部分を作った。その時に、ウイルスの事件にしようということで、次のシーズン、本編でやりますからと犯人役に袴田(吉彦)さんに出てもらった。いずれにしても、今回のシリーズでウイルスパニックものをやるというのは決めてたんです」

『相棒』特別編はプレシーズンのブルーレイボックスに特典映像として収録されている(DVDボックスには未収録)。劇場版のヒットを記念して放送されたもうひとつの特別編(プレシーズン3の再放送に新撮映像を加えたもの)も収録されているので是非。

 

 

5,000字超え。さすがに書きすぎた。

抜き書きも多いが、脚本もインタビューも実際のボリュームはかなりのものなので、雑誌の価値を損ねることにはなっていないはずだ。

 

『ドラマ』『シナリオ』 ありがとう。いい雑誌です。

 

 

<了>

抜き打ち相棒検定

先月購入した『相棒』関連の雑誌を少しずつ紹介していく。

 

まずはこちら、『刑事マガジン プラスワン』-刑事ドラマ専門誌。

(2006年、辰巳出版)

ざっと見た感じは普通の『刑事マガジン』と変わらない。

※普通の『刑事マガジン』

どこが「プラスワン」なのか。その答えは表紙に書いてあった。

探偵ドラマも掲載しているから、「プラスワン」。すごい切り抜け方だ。

刑事ドラマ縛りの難しさを垣間見てしまった。

 

『刑事マガジン』はのちにvol.8まで刊行されるのだが、この『~プラスワン』も巻数にカウントされており、時系列ではvol.4にあたる。つまり、番外編ではない。

 

さあ、気を取り直して。

ブックオフオンラインで購入。385円。

表紙を飾る『スケバン刑事』、探偵ドラマ枠の『犬神家の一族』、モト冬樹主演の『ヅラ刑事』など、気になるタイトルが目白押しだが、とりあえず『相棒』特集について。

 

水谷豊×寺脇康文 P28~31

杉下右京役の水谷さん、亀山薫役の寺脇さんによる対談。シーズン5クランクイン直後のインタビューということで、話題はシーズン4の裏話やシーズン5以降の展望など。

・「天才の系譜」(S4#16)のラストで右京が姪(便宜上)の杉下花に言った「お母さまによろしく」というセリフは水谷さんのアドリブ。小料理屋・花の里での「お酒ちょうだい」という右京のセリフは和泉監督の発案。

・寺脇さんのなかの設定では、薫は「お姉ちゃん3人と妹」がいるような家庭で育った。

 

川原和久×大谷亮介×山中たかシ P32~35

伊丹憲一役の川原さん、三浦信輔役の大谷さん、芹沢慶二役の山中さんによる鼎談。

・3人でよく飲みに行く。ときには米沢守役の六角精児さんや中園照生役の小野了さんを交えて。

・台本での「トリオ・ザ・捜一」表記が増えた。「伊丹、三浦、芹沢」と字数は変わらないのに。

・川原さんのなかの設定では、伊丹は三浦を「三浦さん」と呼ぶ(のちに放送された「暴発」(S9#6)では実際にそのように呼ぶシーンがある)。

 

松本基弘 プロデューサー P36・37

チーフ・プロデューサーの松本基弘さんへのインタビュー。

亀山薫の姉を戸田恵子さんが演じるという案は、彼の設定を作った当初からあった。

・「第三の男」(S3#6、ゲスト:原田龍二さん)と「ついてない女」(S4#19、ゲスト:鈴木杏樹さん)はキャスティングが先、「監禁」(S4#8、ゲスト:佐藤江梨子さん)は脚本が先。

 

池頼広 音楽 P38・39

音楽担当の池頼広さんへのインタビュー。

須藤泰司プロデューサーからクラブを教わった。二人で汗だくで踊っている。

・シーズン3「潜入捜査」のエンディング曲は池さん自身が弾いている。

 

『SEASON Ⅳ』全話ガイド P40~43

シーズン4(全21話)のストーリー紹介。脚本、監督、ゲストの名前も載っている。

今でこそ新シーズンの放送開始に合わせて前シーズンのソフトが発売されるが、当時はようやくプレシーズンとシーズン1がDVD化された頃。当時のファンはこのコーナーを重宝していたに違いない。

 

撮影現場リポート P48・49

シーズン5初回スペシャル「杉下右京 最初の事件」の撮影現場リポート。

途中、監督の指示で右京のお土産のナスを米沢が持ち上げてお礼を言うことにするのだが、最初六角さんの持ち方が面白く、スタッフの笑いを誘った。

ー48頁より引用。

「川原和久×大谷亮介×山中たかシ」鼎談で話題になっていた「欽ちゃん走りみたいな走り方で署に駆け込む芹沢」のシーンともどもDVDを見直して確認してみたが、演出が変わったかカットされたかで、やはりそれらしきシーンはなかった(ナスを持ち上げる六角さんはいた)。

 

相棒検定 P44~47

44頁より引用。

突然の相棒検定。去年の今頃、『相棒検定』(2008年、辰巳出版)に挑戦したのだが、その萌芽が『刑事マガジン』にあったとは。

aibouninngenn.hatenablog.com

 

今回は全30問。出題範囲はプレシーズンからシーズン4まで。

47頁より引用。

3級の評価が厳しすぎる気がするが、愛ゆえか。

 

全問正解を目指して解いた。予習はしていない。もちろんカンニングも。

解き終わるのにさほど時間はかからなかった。

結果発表は後回しにして、間違えた問題を振り返る。

 

Q3 シーズンⅠの冒頭、ダイナマイト男が薫を人質にとって警視庁の警視総監室に籠城。その交渉中、右京がそのダイナマイト男に渡したタバコの銘柄は?

①ハイライト ②セブンスター ③ホープ ④マルボロ

ー44頁より引用。

ムッズ。

私の解答

勘で答えて間違えた。全問正解の夢、叶わず。

 

Q5 「殺しのカクテル」(Ⅰ)に登場した美和子のおば・アキコと、亡き夫・アルバートとの思い出のカクテルの名前は?

ー44頁より引用。

括弧内のローマ数字はシーズン数を表す。

私の解答

見た目は思い浮かんでいたのに、「ベストパートナー」という名前がどうしても出てこなかった。「ホーム・スイート・ホーム」は同じ話に登場する別のカクテル。ドボン問題を落とした気分だ。

 

Q21 「殺しのピアノ」(Ⅲ)で、右京が最初にピアノで弾いた曲は?

ー46頁より引用。

私の解答

恥ずかしい。断じて狙ったわけではない。

 

Q30 亀山の姉・磯村茜が持ってきたお土産は?

①ういろう ②生八つ橋 ③ささだんご ④萩の月

ー46頁より引用。

シーズン4最終回「桜田門内の変」からの出題。

私の解答

亀山薫は新潟出身。解説によれば、薫の姉を演じた戸田さんは名古屋出身だそう。名古屋名物ういろうもあながち間違いではない?

 

結果発表

1級に合格。私の弱点はタバコとクラシックと主要登場人物の親戚。とりあえず「殺しのカクテル」と「桜田門内の変」を見直さねば。

 

ついでにプレゼントクイズにも挑戦した。

プレシーズンの初回で薫が訪れたバーの店名を答えさせる問題、特命係の立ち上げ当初の名称を答えさせる問題、シーズン3「ゴースト」やシーズン4「告発の行方」のロケが行われた出版社を答えさせる問題の計三問。正解は載っていなかったため自己採点。

選択問題だったため、全問正解することができた。ちなみに、出版社の問題の正解は「辰巳出版」だった。そりゃそうか。

『相棒』のスタッフブログに辰巳出版でのロケにまつわる記事があった。

www.tv-asahi.co.jp

 

 

1冊しか紹介できなかったが、今回はここまで。

『刑事マガジン』、やはり内容が濃い。ぜひともコンプリートしたい。

118頁より引用。

好き。

 

 

<了>



冬の深まり、通信交換。

色違いのタマゲタケをゲットした。やったね。

www.youtube.com

捕獲動画は一週間で200回再生を突破した。念のため言うと、これは多いほう。

人気なのか、タマゲタケ。鳩といい、何が伸びるのかまったく予想できない。

そして、早くも低評価がついた。ふざけるな。

 

これが通常のタマゲタケ。かさがモンスターボールの模様になっているきのこポケモン

 

そしてこれが、色違い。かさの赤色の部分が、薄紫色になっている。

カワイイ。

 

正面はこんな感じ。よく見るとかさの縁の色も微妙に違うが、判別しにくい。

カワイイ。

 

 

数日後、友人にタマゲタケを自慢するために大学に行った。

街は凍てついていた。入試前ということもあり、大学構内は人がまばらだった。

雪塊とわたし。

無事に友人と合流し、吹き抜けの談話スペースでそれぞれ3DSを開く。

普通なら友人宅で遊ぶのだろうが、入室を拒まれたので大学に集まることに。

 

30秒でタマゲタケの自慢を済ませ、ポケモンマリオカートで通信……はせずに、友人の『ポケットモンスター X』を借りて私が持っていないポケモンを二匹ずつ捕獲。私の『ポケットモンスター Y』と『ポケットモンスター オメガルビー』にそれぞれ転送した。

その後、友人の3DSを借りて私のソフト同士で通信交換。それぞれのソフトではゴーストやポリゴンといったポケモンたちが通信進化の時を待ち望んでいた。

 

赤枠の中が通信進化したポケモンたち、黄枠の中は友人にもらったポケモンたち。

左:Y、右:オメガルビー

 

友人は「サンダーのほうが好き」という理由でファイヤーを、「あまりかわいくないから」という理由で色違いのマルノームをくれた。今はポケモンに興味がないとはいえ、おそろしいほど太っ腹だ。

 

午前10時に集合したのに、気づけば午後2時になっていた。

10年越しの念願ということもあり、ポケモン図鑑を埋めるのに熱中してしまった。

最初のうちは私が貸したマリオカートスマブラに興じていた友人だったが、最後のほうはすごく暇そうにしていた。本当に申し訳ない。

 

雪遊びをしながら下山し、松屋で昼食を済ませてカラオケに行った。

ふたりで国家を斉唱し、途中にポケモンバトルを挟み、〆は『We Are The World』斉唱。

初めから大学ではなくカラオケで3DSをやればよかったのだと、その時気づいた。

 

カラオケ代を割り勘したら、割り切れない150円が生まれた。

こういうときはどうするべきなのか、我々にはわからなかった。

結局、友人の提案で近場の神社に行くことにした。割り切れずとも硬貨は二枚あるので、賽銭にはもってこい。ちょっともったいない気もしたが、名案に思えた。

午後6時過ぎ。すっかり日が落ちた住宅街をさまよい、目的の神社へ。駅と大学の往復だけでは見ることがなかったであろう街並みを目に焼きつける。

闇夜の神社に、防寒装備バッチリの黒ずくめ二人組。賽銭泥棒にしか見えなかった。

 

無事に参拝を終え、駅近くのガストで夕食を済ませて解散した。

3DS、雪遊び、松屋、カラオケ、神社、ガスト。子供なのか大人なのかわからないが、とにかく楽しい一日だった。

 

 

翌日、もらったポケモンを進化させた。

 

メガシンカの姿も図鑑に登録した。

 

おかげで、図鑑がかなり埋まった。

 

プレイ時間もかなり増えた。

 

たぶん、10年後も遊んでいることでしょう。

 

 

<了>

『きまぐれ読書メモ』星新一(1981年、有楽出版社)

『きまぐれ読書メモ』は星新一による読書エッセイ集。

現在は絶版で、電子書籍化はおろか星作品としては珍しく文庫化もされていない一冊。

 

 

 

 

 

 

 

 

装幀・カバーイラスト:真鍋博

 

発売所は実業之日本社。発行所は有楽出版社。

www.book61.co.jp

 

星新一が本を読み考えた

これは単なるブックレビューではない。SFの先駆者、優れた伝記作家、星新一が書物を契機に、人間、社会万般にわたって思索し、生み出した傑作エッセイなのだ!!

 

珠玉の読書エッセイ集

 

ここに取り上げられた書物群は168点の多数に達し、その分野はSF、中間小説、純文学ノンフィクション、科学、歴史、漫画、童話 写真、音楽と驚くほど巾が広い。その著者群も、国の内外、有名無名、実に多様だ。これは著者の知識の大きさ、関心の広さ、教養の深さを示すものであり、そこから生まれたエッセイが人を魅了する所以だろう。

ー帯より引用。

 

「気まぐれ読書メモ」になっている。

 

13部構成で、初出はいずれも『奇想天外』(奇想天外社)というSF雑誌。

PARTⅠ~Ⅳ 1978年5、7、9、11月号

PARTⅤ~Ⅹ 1979年1、3、5、7、9、11月号

PARTⅪ~XIII 1980年2、4、6月号

 

目次をまとめている方がいたので、気になった方はこちらを閲覧されたし。

moonshine.hatenablog.jp

 

 

取り上げた本の書名と著者名が各エッセイのタイトル代わりになっているのだが、PARTⅢには「『  』『  』『  』」というものがあり、目次の中でもかなり目を引いた。試しに読んでみたら、こうあった。

 右の空白部分には、翻訳の長編を三冊並べるべきなのだが、けなすつもりなので、わざと書かない。

(中略)オビに意味ありげな文章を書いたやつは、詐欺師である。

(中略)自己の不明のせいなので、文句の持ってきようがない。小説のつまらないのを読まされた被害者連盟、略して小ピ連でも作るとするか。

ー33、34頁より引用。

面白い。これが読めただけでも買った甲斐があるというものだ。

日本は「翻訳大国」だと聞いたことがあるが、その弊害なのかもしれない。

私は中学時代に背伸びをしてエラリー・クイーンの『ローマ帽子の謎』とブラッドベリの『火星年代記』を読んで痛い目を見たことがある。原文や翻訳が悪いなどとは言うつもりはないし、有名な作品なのでそんなことはないと思う。原因は背伸びをしたことに違いないのだ。今読んだら面白いと思えるのかもしれないが、かといって読み返す気も起こらない。背伸びをしたために損をした。

火星年代記』は星新一が絶賛した作品だと知って手に取ったのだが、星新一が読んだのは『火星人記録』というタイトルで、訳者も異なるものだ。身勝手だが『火星人記録』のほうを読んでいたら、などと考えてしまう。いつの日か読んでみたい。

 

話が逸れた。つまらないものはつまらないとハッキリ言う正直さ。見習いたい。

出版社との過去のトラブルについても書いている。このことが文庫化されなかった理由だという説をネット上で見かけたことがあるが、真相やいかに。

星新一自身も文章中で言及しているが、執筆時点で既に入手困難な本が取り上げられていたりもするので、案外そういったことが未文庫化の理由なのかもしれない。

 

時の流れか、私の不勉強か。取り上げられていたのは、読んだことがない作品ばかり。

 エッセーの書き方の見本でもある。つまり、自己の失敗を書けるかどうかだ。学者や役人の随筆のつまらないのは、それができないからである。

ー202頁 PARTⅪ「山田風太郎著『風眼抄』」より引用。

それでもこの本を楽しく読めたのは、星新一が自身の勘違いや失敗を正直に書いているからだろう。

 

文庫でだが、アーウィン・ショーの『夏服を着た女たち』は読んだことがあった。

(1984年、講談社文庫)

日曜日の朝、柔らかな陽に包まれたニューヨーク五番街を散歩する夫婦。久し振りに二人だけの時間を過ごそうと妻はあれこれと計画するが、街を行く若い女性に対する夫の目が気になって……(表題作)。軽妙な夫婦の会話を軸に、男と女の機微を描く洒落た都会小説のエッセンス十篇を収録。

ー裏表紙より引用。

ある時、父が本を処分しようとまとめていたことがあり、その中にこの本があった。私はカバー装画が和田誠によるものであることを理由に、この本と『金田一耕助の冒険1・2』を譲り受けた。和田誠は星作品のイラストも数多く手がけた人物だ。

hoshishinichi.com

数年前に一度読んだきりなので内容はほとんど忘れてしまった。

星新一が「たぶん、この本、書棚の片すみに入れておいて、またいつか読みかえしてしまうだろう」(228頁 PARTXIII「アーウィン・ショー著/常盤新平訳『夏服を着た女たち』」より引用)と書いていることだし、これを機に読み返してみようか。

 

私は現在、PARTⅧで取り上げられている岡本綺堂の『中国怪奇小説集』を読んでいる。

aibouninngenn.hatenablog.com

前にも書いたが、もともとはゼミのレポート課題のために『きまぐれ読書メモ』を買ったのだ。星新一が中国怪談の影響を受けていたなんて、この本を読むまで知らなかった。

 

 

基本的にネタバレはされていないので、この本で取り上げられている作品を読んで「星新一の読書」を追体験するのも一興だろう。稀覯本探しも楽しそうだ。

まあ、積ん読が解消したらの話だが。

 

父に関しては、借金の山を残してくれてと、不肖の息子であることと、そんな感情を抱いてきたはずなのだが、三十年たったいま、自分の作品と同じく、私と切り離せないつながりを持っていたのだと……。

 といったようなのを書けば、教養小説の短編になるらしい。照れくさくて、かなわん。

ー222頁 PARTⅫ「高橋健二選『教養小説名作選』」より引用。

一瞬泣きそうになったのに。

 

やっぱり、星新一はエッセイも面白い。読んでいると気分が落ち着く。

 

 

<了>