ピタゴラ関連の本はいつもしれっと発売される。
待っている時ではなく、忘れた頃に新刊が出る。人生と一緒。
発売から2か月遅れで『ピタゴラじゃんけん装置QRブック』(2022年、小学館)をゲット。
『ピタゴラスイッチ』の放送時間が15分から10分へと短縮された2021年度からスタートした新スタイルのピタゴラ装置、「ピタゴラじゃんけん装置」をまとめた書籍。
『ぴったりはまるの本』(2006年、ポプラ社)やフレーミーの絵本と同じシリーズ「ピタゴラBook」に分類されており、これまでのピタゴラ装置の本よりも対象年齢が低めに設定されていると思われる。
ピタゴラ装置の解説本としては2016年に発売された『ピタゴラ装置はこうして生まれる』(小学館)以来、6年ぶり。これまでは書籍にDVDかBlu-rayが付属していたが、今作ではスマートフォンやタブレットでQRコードを読み込んで映像を再生する形式が採用されている。
やってみる
とりあえず、やってみる。
手始めに、表紙のQRコードを読み込んでみる。
チュートリアルとして、表紙の装置が再生された。テレビで見ているのと同じ感じ。
イヤホンを付けてピタゴラ装置を見たことはなかったが、これは良い。
ピタゴラ装置の音はASMRになることが分かった。
本編には「かんたん」、「ややむず」、「ちょいむず」、「かなりむず」、「鬼むず」のいずれかの「そうちレベル」分類された装置が各巻に16作品ずつ収録されている(各巻の冒頭に「れんしゅう問題」として、ランク付けされていない装置がひとつずつ収録されている)。
見開きで装置の全体像が載っており、読者はその写真や記されたヒントをもとに「グー」、「チョキ」、「パー」のどれが出るかを予想する。三すくみのそれぞれに付いているQRコードを読み込むと、装置の映像が流れて正解が発表される。
表紙以外のQRコードでは「あいことば」の入力が求められる。そのページに書かれている「あいことば」を入力すると、映像が見られる仕組みになっている。
結果に一喜一憂した後は、解説を読む。ひとつの装置につき、予想パート見開き2ページと解説パート見開き2ページという構成になっている。
放送で見たことがある装置がほとんどだったが、それでも間違えてしまうような良問揃いだ。
解説パートでは道具や機構の説明の他、過去のピタゴラ装置などの映像が見られるQRコードが載っており、ピタゴラ装置作りの手引き書としても優れている。
『ピタの巻』には装置評論家トンカッチによる制作スタッフ・グー氏への質問コーナー、じゃんけんパネルの解説、佐藤雅彦さんによるあとがきが収録されている。
『ゴラの巻』には装置評論家トンカッチによる制作スタッフ・チョキ氏への質問コーナー、じゃんけん装置の原型となった「四択装置」、ユーフラテスからのメッセージが収録されている。
終わり
「じゃんけんをする」という制約によって、ピタゴラ装置は進化を遂げた。視聴者にヒントを与え、時にはひっかける機構の数々は、これまでのピタゴラ装置とは一線を画している。まさに、「見るだけのピタゴラ装置から、予想するピタゴラ装置へ。」(『ピタの巻』『ゴラの巻』見返しより引用)である。
次回作もありそうなので、そのときに備えてこまめなリサーチをしていきたい。
<了>