猫のようにしなやかに、犬のように全力で

まほろ駅前番外地』を読み終えた。さあ、ブログを書こう。

 

私は、本を一冊読むごとにブログを一本書くことを基本方針としている。

だからといって、おざなりに読書をしているわけではない。

書くための読書ではなく、あくまでも読むための読書だ。

その傍証になるかはわからないが、私はよくネタ不足に陥る。読むペースがはやいのか。

 

その点で、今回は恵まれている。

ゼミのレポート発表も終わったし、『相棒』の新シリーズも始まった。

『相棒』のストーリーレビューは多くの人がやっているので入り込む隙間はないが、毎年恒例のプレゼント企画に応募した話や、流行りの構文で番宣をしようとしたがすんでのところで思いとどまった話など、特に『相棒』に関してならまだまだ書き代がある。

Keepメモより。これが日の目を見ることは、もうないだろう。

 

そんなことを考えていた時、オモコロ杯2023の結果が発表された。

omocoro.jp

 

なんと、私が書いた記事が銅賞に当選したのである。

aibouninngenn.hatenablog.com

応募したことは母親とふたりの友人にしか言っていなかった。

もちろん、ブログにも書いていない。

だが、実際の私は「そんなことを考えていた時~」などと飄々とした態度ではなく、内心では発表の日を待ち望んでいたのである(自信があるとかじゃなくて、ひと思いにやってほしいという心境だった)。

 

審査員の方々が本当に私の記事を読んでくださったことは、アクセス記録で知っていた。

それだけでも嬉しかったのに賞までもらえて、私は死ぬのではないだろうか。

 

パソコンで結果を見た私は「嘘だろ」と呟き、スマホでも結果を確認した。

見覚えのあるアイキャッチ画像が、そこにもあった。やはり嘘じゃない。

この喜びを共有したかったが、生憎、家には私ひとりだった。

友人にも(私がブログをやっていることを知っている者にさえ)実際にブログを読ませたことはなかったため、リンクを送るのはためらわれた。

結局、家族のグループLINEに結果発表ページのスクショを送るにとどまった(家長にブログの存在を知られるのは避けたかったが、認められたいという欲には勝てなかった)。

 

そこからの小一時間は無為に過ごした。

ただスマホを片手にパソコンの前を右往左往していた。

骨ばった胸のなかで早鐘が鳴っていた。

我が家に隠しカメラでも仕掛けてあれば、成人男性が犬のようにウロウロするという、さぞ面白い映像が撮れていたことだろう。

その後も、身体の火照りは治まらなかった。なにも手につかなかった。

 

Gメールを覗くと、オモコロ編集部からメールが届いていた。

リンクから改めて結果発表のページに飛ぶと、以下のメッセージが表示された。

改めて嬉しく、そして信じられない。考えうる限り最も丁寧な言葉でメールを返信した。

 

ふと、受賞作を読んでいないことに気付き、(受賞ラベルをどこに貼るべきか参考にする意味でも)全作を拝読した。

どの記事も凄かった。文章、工作、行動力、画像加工、脳みそのアウトプット・・・・・・。

 

それと同時に気になった。私のどの部分が評価されたのだろうかと。

オモコロパワーでアクセス数は増え、ありがたいことに読者登録してくださった方もいる。

アクセス元サイトの順位も大きく変動した。

自分を見つめ直すには、今が絶好のチャンスだ。

 

なので、近いうちに受賞作「相棒カードやってるぅ YOU KNOW?」の解説記事的なものを書こうと思う(もっとも、落選してもやるつもりだった)。

 

だいいち、もうひと記事書けるのだから、これを逃す手はないだろう。

 

 

今週の読了本

三浦しをん さんの『まほろ駅前番外地』-まほろ駅前シリーズ第二弾。

(2012年、文春文庫)

東京都南西部最大の町・まほろ市の駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生・行天。汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も承ります――。多田・行天の物語とともに、前作でお馴染みの星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー七編を収録。 解説・池田真紀

-裏表紙より引用。

多田・行天が婚約指輪“隠し”を依頼される「光る石」、まほろの裏社会を仕切る青年の一日を描いた「星良一の優雅な日常」、曽根田のばあちゃんの過去が明らかになる「思い出の銀幕」、多田便利軒お馴染みの依頼“横中バスの間引き運転監視”が新たな視点で描かれる「岡夫人は観察する」、達観を知る小学五年生・田村由良が行天に振り回される「由良公は運が悪い」、便利屋コンビが奇妙な遺品整理に挑む「逃げる男」、インフルエンザでダウンした依頼人の妻に代わって料理・子守に奮闘する「なごりの月」の七編。

 

「岡夫人~」と「由良公~」、「逃げる男」と「なごりの月」は話に繋がっている部分があった。また「なごりの月」に登場する団体“家庭と健康食品協会”は続編にあたる『まほろ駅前狂騒曲』にも登場するようなので、『まほろ駅前番外地』は“スピンアウトストーリー”と銘打ってあるものの、シリーズ上では不可欠な作品となっている。

シリーズ第一弾『まほろ駅前多田便利軒』を読んだのは一年以上も前だったが、個性的な登場人物たちが前作から引き続き登場するため、読み始めてすぐに“まほろ”に溶け込むことができた。

便利屋の主・多田と居候・行天の絶妙なコンビの面白さも、登場人物たちが小さな出来事や謎を経てケアされる温かさも、前作と同様に満ち溢れていた(まほろの住人たちが視点人物となっている話は、より“ケア”が効果的に描かれているように思われた)。

 

こまごまと書いたが、まほろ駅前シリーズの居心地の良さは実際に読めばわかるだろう。

「なごりの月」から話がどう繋がるのか、『まほろ駅前狂騒曲』を早く読みたい。

 

 

<了>