早いもので『相棒 season23』開幕。感想という名の思いの丈はDVD・Blu-rayプレゼント企画の応募フォームにぶつけたばかりだが、ここでも触れないわけにはゆくまい。
初回の脚本は予想するまでもなく徳永富彦さん。「少年A」や『相棒 sideA/B』のみならず、「沈黙のカナリア」「背信の徒花」「すみれ色の研究」「第三の女」「2045」など、過去の徳永脚本回を想起させる要素がちりばめられていた。
徳永さんは年々凄みを増している。「ある晴れた日の殺人」のホチキスとテープ、「惡の種」のピカピカの硬貨、逆さから書いた字、クロガネモチ、ホワイトボードの消し癖、『相棒 sideA』の八宝菜と中華丼、キレイなバットなど、フック(主に右京さんの着眼点)のバリエーションは尽きないし、一話にふんだんに盛り込まれている。今回はオジギソウと駆けた足跡、おにぎりの開け方など。被りがないのが凄すぎる。
それにフォローも凄い。近年の徳永作品におけるマイベストフォローは、硬貨を入れたビニール袋による撲殺、という不確実な方法に対する「殺意まであったかどうかはわかりませんがね」という右京さんのセリフ(「惡の種」より)だが、今回の、おにぎりの変な開け方に対する「シールが邪魔で」というアンサーも、実にゆきとどいていた(割引シールがついているおにぎりは確かに開けづらく、このリアリティも気持ちいい)。
半額のおにぎりを買った人物がひとりだった、という展開は一見都合が良すぎるように思えるが、そこにも「半額になるのは閉店間際」というフォローがなされていた。土師っちのパスワードのくだりや特命コンビが高田創の襲撃現場に駆けつけられたことなど、詳細が端折られたと思しき場面もいくつかあったが、それを差し引いても面白かったからヨシ!
ついついフック・フォロー狂の一面が出てしまったが、やはり最も熱かったのは創くん(いや、創「さん」か)の再登場だ。かつて、母親が殺害された現場を規制線の外から眺めていた暗い表情の青年が、今度は警察官として現場を眺めている、という展開の熱さたるや。来週も期待しかない。
徳永さんが『相棒』の初回を手掛けるのは今回が初めてだが、このままメインライターとなるのだろうか。美和子さんや芹沢さんの立場の変化を描いていたため(ねぇ!芹沢さん、卒業しちゃわないよね⁉めちゃ恐いんですけど⁉)、『特捜9』を想起した。
そして『相棒 sideX』が配信開始。TELASA未加入なので、地上波放送された『相棒 sideA』しか観ていないが、シリーズまとめてシーズン23のDVD・Blu-rayに収録される予感がするのでひとまず安心している。『警視庁捜査一課9係』の年末スペシャルがシーズン1のDVD-BOXではなく、内容がリンクしているシーズン2のDVD-BOXに収録されたのと同じパターンですね(この例えがどれほどの人に伝わるのかはわからないが)。
私は器です。『相棒』をただ受けとめ、考えるだけの器です。
P.S.この夏、『警視庁捜査一課9係』に着手した。
ほかにも刑事ドラマ・サスペンスをいろいろ観た(『相棒』は言わずもがな)。
・科捜研の女 season24
・BORDER
・新参者
・SPEC
・ヤメゴク
・神の舌を持つ男
・アンナチュラル
・MIU404
・刑事ゆがみ
・オリエント急行殺人事件 (三谷幸喜版)
・心理探偵フィッツ
今なら『刑事マガジン』を自作できそうである。
地上波やCS、DVD・Blu-rayで観たものもあるが、ほとんどはTVer。無料だが、配信期限がある。ゼミのレポートがなかなか進まなかったわけだ。
六本木以外、外出はほとんどしていないが、観たかったものが観られて大満足の夏だった。『相棒』をはじめ、秋以降も充実しそうである。
観たドラマについては、今後書くかもしれないし、書かないかもしれません。
<了>