幽霊がいるサイン

新学期が始まり、半強制的に就活も始まった。

大学が勧める就活サイトに片っ端から登録し、毎日送られてくる膨大なメールをさばくために片っ端からWebイベントにエントリーしていたら、いつの間にか向こう二か月の土日+αの予定が埋まっていた。

昨年に比べたら時間割はスカスカだが、自己分析、ES、SPI、ゼミのあれこれなど、「今のうちから始めたほうがいいこと」は山積している。

去りし四月のスピードを考えると、実はもうブログどころじゃないような気もするが、気のせいかな。

 

目下の目標は、就活イベントの参加特典として貰えるアマゾンギフトカードを貯めて『相棒』のブルーレイボックスを買うことだ。

昨年末にシーズン21のボックスが当たって以来、持っていないシーズン18・19・20をそろえて隙間を埋めたい衝動に駆られている。不思議とやる気が湧いてきた。

 

懸念すべきは、ギフトカードを貰うだけで満足してしまうことだろうか。

私ならあり得る。

これも立派な自己分析、就活でござい。

 

 

今週の読了本

芦沢央 著『火のないところに煙は』-実話怪談ミステリ。

(2021年、新潮文庫)

「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の<私>は驚愕する。心に封印し続けた悲劇は、まさにその地で起こったのだ。私は迷いつつも、真実を求めて執筆するが・・・・・・。評判の占い師、悪夢が憑く家、鏡に映る見知らぬ子。怪異が怪異を呼びながら、謎と恐怖が絡み合い、直視できない真相へとひた走る。読み終えたとき、それはもはや他人事ではない。ミステリと実話怪談の奇跡的融合。

-裏表紙より引用。

「染み」「お祓いを頼む女」「妄言」「助けてって言ったのに」「誰かの怪異」「禁忌」の全六話。それぞれのあらすじを書きたいところだが、それだけでホラーとしての面白さが失われてしまうかもしれないため、自粛する。

 

著者の本を読むのは、ミステリ短編集『許されようとは思いません』(2019年、新潮文庫)以来二度目。

職業病か、『火のない~』において著者は、見聞した怪異をつい「論理」で解釈しようとしてしまう。そしてそのたびに「怪異に論理で対抗するのは間違っている」と思い直す。

ミステリ作家ならではの思考の流れは、無意識のうちにミステリとホラーを同一視していた私に新たな視点をもたらしてくれた。

 

本を解説やあとがきから読む派の方にも、ぜひ本編から読むことをお勧めしたい。

 

カバー裏には掌編「笑顔の人」が載っていた。隅にはQRコードがあり、それを読み込むとさらに二編の掌編(「願い石」「浮かび上がる」)を読むことができる。

いずれも初回限定特典らしいので、購入するときはご注意を。

特典の三編には本編とは異なる、短さと不条理さが相まった奇妙な怖さがあった。特に「浮かび上がる」のわけのわからなさが面白かった。

 

言い忘れていたが、実はこの本、サイン本なのだ。

www.youtube.com

近所の書店にたまたま一冊だけ残っていたので買った。人生初のサイン本。

コレクターにしてみれば「サイン本を開封して読む」という行為こそが最もホラーなのかもしれないが、開けなければ読めないし、肝心のサインを見ることもできない。

読む用にもう一冊買うのもあれだったので、そのまま読んだ次第。まずかったかな。もちろん扱いには注意を払って、家の中だけで読み通しました。

随分とかわいらしいオバケのイラストだ。読まずともわかるだろうが、この本にはこんなかわいいオバケは登場しないし、描かれる怪異もこのイラストからは想像できないほど壮絶である。ギャップが凄すぎて笑ってしまった。

 

サイン本は難しいかもしれないが、興味のある方は是非。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の褌ですみません。一度やってみたかったんです、こういうオチ。

 

 

<了>