鉄棒で逆上がりはできるのに前回りはできないという話をすると大抵「なんで?」と聞かれるのだが、それはこちらが聞きたいくらいだ。
同じように、バイクには乗れるのに自転車には乗れないという人はいるのだろうか?
タイトルを考えている時、ふとそんなことを思った。
それはさておき、今週の読了本。
若竹七海さんの『クール・キャンデー』(2000年、祥伝社文庫)。
架空都市「葉崎市」(神奈川県?)を舞台にしたミステリシリーズの第三作。
若竹さんの作品を読むのは「葉崎市シリーズ」第一作の『ヴィラ・マグノリアの殺人』(2002年、光文社文庫)、最新短編集『暗い越流』(2016年、光文社文庫)に次いで三度目。
先に読んだニ冊の面白さを担保に既刊本を買いまくり、積んでいた次第。
あらすじ
「兄貴は無実だ。あたしが証明する!」中二の夏、誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた渚。だが、愉しみは儚く消える。ストーカーを苦にして自殺を図り、重体だった兄嫁が亡くなり、時を同じくして、そのストーカーは変死を遂げる。警察は動機を復讐とみて、兄良輔に疑いをかけた。はたして兄のアリバイは?渚は人生最悪の夏休みを乗り切れるか。
ー裏表紙より
限定カバーの宣伝文句の通り、読みやすくて爽やかなイヤミスだった。読んだ後に「うわー!」ってなる感じ。中学二年の渚視点で物語が進んでいくので読みやすく、思春期特有のブラックさも随所に見られるのでドキッとするような「イヤさ」も存分に味わえる。
同一シリーズということもあって「鬼頭堂」など『ヴィラ・マグノリアの殺人』で読み覚えのあるワードが登場するが、直接話が繋がっているという訳ではないらしい。
20年以上も前の作品なので中学生の喫煙シーンがある。恩田陸さんの『六番目の小夜子』(1992年、新潮文庫)を読んだ時もそうだったのだが、このようなシーンで一時停止をしてしまうとき、私は自分の価値観が知らぬ間に変化してしまっていることを自覚する。
作品が色褪せていないだけに、そのギャップが気になる。
そんなギャップも含めて楽しい一冊だった。
今まで読んできた本を、20年後の私はどう読むのだろうか。
続いて、結城充考さんの『捜査一課殺人班 狼のようなイルマ』(2019年、祥伝社文庫)。
先週読んだ、『奇蹟の表現』シリーズ(電撃文庫)に登場する機捜の刑事・イルマを主人公に据え、舞台を現代に移した警察小説シリーズの第一作。
あらすじ
都内でIT関係者を狙った連続毒殺事件が発生。警視庁捜査一課殺人班・入間祐希は新興IT企業のCEO佐伯亨に目をつける。佐伯を尾行中、中国黒社会の殺し屋に襲撃され、激しいカーチェイスの末、イルマは重傷を負う。入院中のイルマに「蜘蛛」を名乗る正体不明の男が命を狙って接近し・・・・・・。獣のような鋭い嗅覚と追跡力で女刑事が疾走するバトルヒロイン警察小説!
ー裏表紙より
イルマの激しさが想像以上。強気な態度と冴えわたる直感・推理、バイクアクションがたまらなく良い。強さの裏にある暗い過去も、彼女のキャラクターをより複雑に、より魅力的にしている。
イルマ、佐伯、蜘蛛、中国の殺し屋「低温」の四人の視点で物語が進行するので、それぞれの目的が明確になり、衝突への緊張感を高めている。
「クロハシリーズ」(光文社文庫)と同様に「静と動」を併せ持つ物語。映像化希望。
早く続編を読もう。
インストアライブの配信を見た。
NEWアルバムの収録曲の他、「GREAT ADVENTURE FAMILY」が演奏された。
初めて買ったアルバムが『GREAT ADVENTURE』だったのでとても嬉しい。
是非、生で聴きたかった。
今週の些事
・ファンタグレープに牛乳を入れたらパナップの味がした
・期限切れのキャベツ太郎で腹壊した
・ミノムッチ ゴミのミノが家にいた
<了>